凡そ1,000万年前の「氷河の活動」によって造られたと云われるヨセミテ渓谷は、日本人観光客にも
馴染み深いヨセミテ国立公園(カリフォルニア州)として、年間400万人以上が訪れる、
米国内でも「最も人気のある公園」のひとつになっている。
このヨセミテ観光の目玉は、なんといってもハーフドーム登山だろう。
私がハーフドームを知ったのは、アンセル・アダムス(Ansel Adams)の写真から。
畳ほどに大きく引き伸ばされた展示は、「8×10の大型カメラ」で撮られたモノクロームであって、
その静謐で精緻なファインプリントに、あまりの神々しさから~血の気が引くような驚きを覚えたものだ。
何を隠そう、
私が、それまでの135・ポジフイルムを止めて、ブロニュー・ポジフイルムへ切り替えたのも、
実は、この時から…(と言っても、現在の私は、撮影のほとんどが「デジカメ」なのだが!)。
大判カメラでヨセミテの光と影を写した写真の数々は、あまりにも美しく気高かった。
ヨセミテを、今日ほど有名にしたのは、アンセル・アダムスの写真だと言われて久しい。
登山家でもあった彼は、環境保護を訴え、“人手が入る前のアメリカの国立公園”を撮った彼の写真は、
環境保護の世論を形成する起爆剤となったのであった。
氷河に削られて半球を縦に割ったように見える造詣から、“Half Dome(ハーフドーム)”と名付けられた
海抜2,682mの花崗岩ドームは、『ヨセミテ渓谷の象徴』でもある。
大きなひとつの岩に見えるハーフドームだが、
実際は岩が堆積したもので、地盤は意外にもろく、大雨の後には落石が頻発する危険な山。
それゆえに、
ハーフドームの南東の丸みの部分に、登山道ケーブルを辿って登る“ケーブル・ルート”が設置された。
一般的に言って、米国の国立公園では、たとえ危険な場所であっても柵などは設置されておらず、
自己責任が求められるところが多いのだが…。
聞きなれない“ケーブル・ルート”だが、
日本の山の“鎖場(くさり ば)”を想像してもらえばよい。
北アルプスの「剱岳」や「槍ヶ岳」への登頂を思えばよいの
だが、それでも、例えば剱岳(つるぎだけ)登頂の一般道で
ある危険きわまりない“カニのタテバイ”等と比べれば、
もちろんのことだが、数段易しいことに違いはない。
人気の高いハーフドームゆえに、ケーブル・ルート登山者は、増加の一途をたどり、2009年には8万人を超えて、休日ともなれば、1日の登頂者が1,200人にも及んだと言う。
足場の悪い登山道が余りに混雑することが、
死亡事故を出すという最悪の事態となり、2010年から
『 事前申請と、週末と休日を対象に登山許可証の取得』が
義務付けられた: ケーブル登山制限
この制度によって、登山者は1日400人以下に制限された。
アンセル・アダムスの環境保護の精神は、今も、日々公園を守る「パークレンジャー」の心の中に
生きている!
その一方で、日本アルプス(北アルプス)の剱岳は、登山制限が無い。
剱岳での、ここ数年の滑落事故などの遭難者は、毎年100名前後となっている。
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